自身の発達障害について相談するため、人生で初めてメンタルクリニックを受診した。
結論を先に書くと、
・俺はASD(自閉症スペクトラム障害)の可能性が高い
・次回に知能と発達の検査を実施、また次回に検査結果の説明予定
ということになった。
医師の先生から受けた質問や説明は忘れてしまいそうなので、このブログに記録しておく。
受診の目的
問診票でも問われたが、
①自分の問題が発達障害によるものか、それ以外(愛着障害やパーソナリティー障害など)によるものかを知りたい。
→ これまでネットや本を読んでは「あ~これ自分が当てはまる」「自分はこれじゃないか?」「やっぱりこれかも?」とグルグル悩むだけで何も結論が出なかった。医学知識のない素人なんだから当たり前。あれこれ考えても時間とエネルギーの無駄だから、さっさと専門家に聞くのがよい。それで自分の症状が何か、程度は重いのか軽いのか、などがわかれば対策のしようがある。何より「どこまでが努力でどうにかできて、どこからが努力でどうにもできないか」のラインがわかる(かもしれない)のが大きい。
②発達障害なら検査で数値として傾向を知りたい。
→ もし自分の症状を説明する必要が出た場合、医師の所見に加えて数値データがあった方が「こういう傾向があるんです」と説明しやすい。
③子供に発達の遅れが見られ、自分か妻からの遺伝の可能性がある。もし子供が自分と似た症状なら、自分の対策が今後役に立つかもしれない。そのためにも自分の症状をはっきりさせておきたい。
受診のきっかけ
これも問診票に書いた内容。
主に仕事面。処理速度とコミュニケーションを密に求められる職場に異動してから特に顕在化。
具体的な問題は、
・説明が下手(「何を言っているかわからない、論理的でない」と言われる)
・複数名でのプレゼン・雑談が苦手
・納期が遅れがち/優先順位をつけられない/重要でないことに手をつけてしまう/主体性がない(と言われる)
自分の判断で行動してミスする/周りに迷惑をかけて罪悪感を抱いている
・人事評価が低くなっている実害が出ている
と割と深刻。
医師の先生の説明
問診票を元にいろいろ質問を投げて、こちらが答えてそれについて説明する、というスタイルだった。
以下に話の順番を入れ替えたりして整理した。
全般的な話
・発達障害の症状は本人が自覚しているほど軽く、無自覚なほど重い。自分の障害の症状を詳しく語る人よりも「何が問題かわからない」と言っている人の方が問題。
・発達障害が問題になるかは環境に影響される。ビル・ゲイツはパソコンの営業はダメだったが開発に回すと才能を発揮した。適材適所。
→ 有名な話? 適材適所はわかるんだがそんな都合の良い環境が見つかるだろうか。それだけが心配。
・ネットには発達障害かどうかのチェックリストがよく転がっているけど、それだけでは不十分。診断では質問に対する答え以外に、答え方や話し方の様子も観察する。これはチェックリストではできないこと。
→ そんなこと言われたら「自分の挙動をすべて見られているのか」と身構えてしまうから言わないでほしかったw
ADHDについて
・ADHDの症状は簡単。不注意と忘れ物。大体みなさん「自分は忘れ物が多いから」という理由でADHDに飛びつきたがる。でも忘れ物なんて誰でもする。問題はその頻度。
・「子供のころ、忘れ物が多かった?」に「いいえ」の時点でADHDの線は消える。30人のクラスで忘れ物が多いランキング上位3人がADHDだとすると10%。日本のADHD有病率は3%だから多すぎる。1位なら約3%で統計と合う。つまりクラスで一番忘れ物が多いぐらいじゃないとADHDにはならない。
→ とにかく「幼少期に忘れ物が多いか」が診断の基準というのがおもしろい。俺は忘れ物がそんなに頻繁ではなかったからADHDの要素は少ないんだろうな。
・ADHDもASDも不注意が特徴だが不注意の種類が違う。ADHDはあれこれ興味が移って注意がそれてしまう。ASDは何か1つのものに集中して注意がそれてしまう。
ASDについて
・ASDの特徴は「コミュニケーション」と「想像力」に問題があること。
◆コミュニケーションの問題
Q. 「誰かが怒られていると、自分が怒られているように感じるか?」→「はい」。
【解説】
・たとえば、AさんがBさんを叱っていると理屈ではわかっているのに、自分がAさんから叱られているように感じてしまう。これは誰が誰に対して話しているかの矢印を上手く把握できていないから。「複数名での雑談が苦手」なのも、AさんがBさんに、CさんがDさんに、と話し手・聞き手がどんどん入れ替わり、矢印がグチャグチャになるため、その状況に苦手意識を持ってしまうということ。今までそのような説明を受けたことがないかもしれないが、医学的にはこういう話になる。納得できないかもしれないけど。
◆想像力の問題
Q. 「通勤・通学で毎日決まった道を通るか」→「はい」
Q. 「家を出るとき、鍵が閉まったかを確認するか」→「はい」
Q. 「同じ動画や音楽を何度も再生したりするか」→「はい」
(1つのものではないが、同じカテゴリのものを何度も視聴はするかも)
Q. 「待つことが苦手だったか」→「はい」
(子供の頃、待てなくて駄々をこねたことがある)
Q. 「普段は憂鬱だったのに、夏休みになった途端元気になったりしたか」→「はい」
(小学校はそんなでもないが、中学生以降はそうだったかも)
Q. 「同じ間違いを繰り返すか」→「はい」
(職場でミスすると「これ前も言ったけど」とよく言われる。)
Q. 「時間を忘れるほど集中することはあるか」→「はい」
(何か読んでいて話し声が聞こえないとかはある。あと電車乗り過ごしたり。)
【解説】
・ASDはわかりやすく言うと「視野が狭い」。これは時間軸に対しても言えること。
・時間の視野が狭いから全体を見るのが苦手。だから「優先順位をつけられない」。
→ よく言われる。「もっと全体を見ろ」って。これも特性なのか。
・時間の視野が狭いから変化を嫌う。同じことが続いている方が安心する。だから、同じ通勤路を通ろうとするし、鍵が必ず閉まっているかを確認したくなるし、同じ音楽や動画を見ていると安心する。
・未来に対して視野が狭い。だから待つのが苦手だったり、夏休みになったから憂鬱なことがなくなった訳じゃないけど目先の楽しいことで問題を忘れてしまって元気になる。
・過去に対して視野が狭い。だから過去の間違いも自分の視野から外れて忘れてしまう。
・未来と過去の視野がどんどん狭くなると現在になる。「今ここ」に集中するから時間を忘れてしまう。この集中力は長所でもある。
・「自分は視野が狭い」ということを理解することで、視野が広がる。
・「主体性がない」ことについて。
もし記憶が24時間しか持たない人が「自分とは何か」を説明することは難しい。
ASDの人は調子が悪くなってから受診に来ることが多く、調子が良くなった途端診察に来なくなったりする。でも診察ってそういうものではなくて、本当は調子が良いときも悪いときも診察を受けた方がいい。そうするとカルテに履歴が残る。「自分とは何か」が記録され、主体性が生まれる。
→ この「視野が狭い」という説明がすごくしっくりきた。主体性についてはピンとこない。
その他
・「論理的でない」といっても、おそらく論理的に考えることはできている。
・あなたは知的障害ではない。もし知的障害ならセンター試験で数学・国語の平均点を取れないし、大学の修士を出ることはできない。
・Q. 「もし抗不安薬を出したら飲みますか」→「気が進みません」
ASDの人は9割薬を飲もうとしない。残り1割も最初の1回飲んで終わってしまう。人を信じていないから。
まとめ
・どうやら先生の所見では俺はASD(自閉症スペクトラム障害)の可能性が高そう。「9割ぐらいの確率だと思っといて」。
・WAISとAQという検査を受けますか?と聞かれたので「受けます」。WAISは知能の検査、AQは自閉症スペクトラムの程度を知るための発達検査らしい。検査は全部で2時間半~3時間になるという。体力的にも精神的にも疲れそう。予定日の前日は早めに寝よう。